意識の感覚

眠っている時間が好きではありません。

ある冬の

 

働いているとき、たまに1秒がとても長く感じられる。

昨日は、ブレンドコーヒーをタンクからマグに注いでいる時、その水流をながめていた。朝7時台後半。朝に空気が澄んでいると、ちょうど昇りきったくらいの朝日がお店の窓からはまっすぐ入り込んできて、店内の輝度をあげる。コーヒータンクは窓から少し離れた、でもカウンターの中では比較的窓に近い場所にあって、その光がまっすぐ当たる場所にあった。コーヒーはとても濃い茶色をしているから、普段はその濃淡なんてよくわからないけれど、光にあたるとマグの中での濃淡がはっきりしてくる。あと、注ぐときは注ぎ口の構造によっていくつかの水流の束があわさってコーヒーが出てくるから、はっきりした水の束感、みたいなのがみえておもしろい。

その日、1番目を惹かれたのはその束の滑らかな輝きだった。

 

本当なら勢いのあるはずの水流が、おしとやかに、するするとカップに降りていく。

そして同時に、「ここの時空は日光によって落ち着かされているのだ」と、私の気分は穏やかな方へと向かっていった。静かなカウンターで、私だけが束を見つめる。

 

そうして1人分のブレンドコーヒーを注ぎ終わり会計を済ませた。お辞儀をしてから顔を上げると、もう店内はいつも通りの明るさに戻っている。

また、せわしなく。